研究概要 |
ラット大脳膜標品における受容体とG蛋白の機能的連関の検出法については、受容体刺激によるhigh-affinity GTPase活性の上昇を指標に、各部位でいくつかの受容体とそれに供役するG蛋白について可能となったので、その方法の詳細についてMethods in Molecular Biology,vol.83に発表した。この方法を用いて代謝型グルタミン酸受容体を介する反応の薬理学的解析を進め、その結果については現在投稿準備中である。また、この方法を利用して、坑躁病薬リチウムが受容体とG蛋白の機能的連関に少なくともin vitroでは影響を与えないことが明らかとなった(Biol.Psychiatry42:697-703,1997)。さらに、受容体を介さずある種のG蛋白を直接刺激することが知られているスズメバチの毒素マストパランのGTPase活性に対する効果を検討し、これを報告した(Br.J.Phamacol.121:1406-1412,1997)。現在は、マストパラン以外に受容体を介さず直接G蛋白を活性化することが知られている神経ペプチドの効果についても検討を進めているが、これらの研究をさらに進めることによって、G蛋白の制御機構の生理的役割がさらに解明されるものと期待される(Life Sci.,in press)。また、これらのラットを用いた実験とは別に、将来の臨床研究に備え、ヒト死後脳における受容体感受性high-affinity GTPase活性の性質を薬理学的に検討したので、これについても発表の予定である(Brain Res.,in press)。今後は、個々の受容体が実際にどのG蛋白サブタイプと機能的に供役するかを明らかにしたいと考えており、種々の蛋白質修飾物質や特異抗体を用いた検討を予定している。
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