研究課題/領域番号 |
09670972
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 弘前大学 |
研究代表者 |
矢部 博興 弘前大学, 医学部・附属病院, 講師 (60210316)
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研究分担者 |
兼子 直 弘前大学, 医学部, 教授 (40106852)
栗林 理人 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (80261436)
篠崎 直子 弘前大学, 医学部・附属病院, 助手 (20292162)
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キーワード | MMN / ERP / Median Method / Schizophrenia / Temporal Window of Integration |
研究概要 |
MMN(mismatch negativity)というERP(事象関連脳電位)は、脳内情報処理の初期の記憶過程(sensory memory traceとdeviated eventsとの前注意的な比較過程)を反映する。MMNは自動的反応であるにも関わらず、求心性感覚入力そのものでなく、記憶過程の反映である。研究代表者らは、特殊な刺激欠落MMNパラダイムを考案することにより、MMNの反映する極小の記憶単位が、約200ms以内の時間的統合機能(Temporal Window of Integration:TWI)を有し、これが知覚の単位に相当する可能性を示してきた。一方、従来より精神分裂病の前注意的な情報処理障害が指摘されてきたが、まさにこれはMMNが関与する事象であると考えられた。本研究では、平成9年度の前半は、脳磁図による局在性同定が行われると共に(Psychophysiology印刷中)、このintegrating windowのtemporal durationの詳細な決定の為に当てられた。刺激自体のdurationによる誤差を防ぐ目的で使用されたclick音によるMMNの発生が検討されたが、結果はTWIの範囲に含まれる短い刺激間隔の場合のclick音の欠落に対しては明瞭なMMNが誘発された(第27回日本脳波筋電図学会発表)。本研究のERP dataの精度向上に、研究代表者が提案したmedian methodが、時間領域における精度の問題、とりわけlatency jitteringに有用である事が確認された(第14回国際臨神経生理学会発表、Special Issues on ERP in BRMIC印刷中)。通常の50ms tone pipsを用いた実験では、Tempora Windowの大きさは150-170msと推測されていたが、click音の実験でも160ms前後という結果が得られた(第6回国際誘発電位シンポジウム発表予定、雑誌投稿中)。 以上の結果を踏まえて、平成9年度秋より約30名の精神分裂病患のBPRS、TWIの機能などの測定が行われた(投稿準備中)。
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