研究概要 |
本研究は、ブチロフェノン系抗精神病薬の代謝に対して併用薬物が及ぼす影響と、さらにその血中濃度の個体差とcytochrome P450(CYP)2D6遺伝子型との関連について検討し、抗精神病薬の合理的ストラテジーを開発することを目的としている。 231名のハロペリドールで治療中の精神分裂病患者において併用薬物のハロペリドール血中濃度への影響を検討したところ、カルバマゼピンはハロペリドール血中濃度を平均37%低下させ、フェノバルビタールはハロペリドール血中濃度を平均22%低下させることがわかった(Hirokane et al,Therapeutic Drug Monitoring,in press)。また、ブチロフェノン系抗精神病薬であるチミペロンとハロペリドールの還元経路の差異について明らかにするために、チミペロンで治療中の精神分裂病患者において血中チミペロンおよび還元型チミペロン濃度を測定し、チミペロンの薬物動態学的研究をおこなった。体重あたり投与量が同じでも、チミペロンの血中濃度はハロペリドールのそれの約60%であることがわかった(Shimoda et al,Psychiatry & Clinical Neurosciences,1998)。チミペロンとハロペリドールの還元経路の差異についてより詳細に検討するために、ヒト肝臓cytosolを用いてのin vitro実験をおこない、上記の所見がハロペリドールとチミペロンの固有クリアランスの差によるものであることがわかった(Shimoda et al,Pharmacology & Toxicology,1998)。
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