研究概要 |
前年度においてニューロフィラメント68kDaサブユニット(NF-L)のN末側端HEAD領域におけるリン酸化部位特異的な抗体(Ser-51,Ser-55リン酸化部位に対する抗体、abNFL51,abNFL55、各々PKC、PKAのリン酸化部位に対応する)を作成し、そのinvitroにおける特異性を検討した。本年度では、まず、各抗体及びラット初代神経培養細胞を用いてinvivoにおけるNF-Lのリン酸化について検討した。ラット初代神経培養細胞は、少量のabNFL55にて認識されるリン酸化NF-Lを含み、その量は、オカダ酸により増加した。また、forskolinの投与によってはabNFL55にて認識されるリン酸化NF-Lは増加せず、オカダ酸を同時投与することより大幅な増加がみられた。これらの結果から、一部のNF-LはPKAにてリン酸化を受けるが、その量はオカダ酸にsensitiveなphosphtaseにより調節されていることが示唆され、神経細胞においてNF-LのダイナミクスがPKAなどのkinaseとphosphtaseにより制御されている可能性が示唆された。また、abNFL51ではラット初代神経培養細胞では染色像が得られず、NF-LはPKCにより神経培養細胞ではリン酸化を受けていないことが示唆された。また、abNFL51,abNFL55を用いてアルツハイマー病脳及び正常脳のフォルマリン固定標本を15ミクロンの浮遊切片で免疫組織化学的に検討した。abNFL51は、一部の神経原線維変化様の構造物を染色した。また、abNFL55はアルツハイマー病脳及び正常脳の神経細胞体及び神経突起を染色した。
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