研究概要 |
Cocaine(10mg/kgs.c.)を1日毎に21日間ラットに投与し、最終投与の20日後に見られるSCH23390(ドパミンD_1受容体遮断薬:0.1mg/kgi.p.)およびHaloperidol(ドパミンD_2受容体遮断薬:0.1mg/kg,i.p.)によって生ずるカタレプシー反応の増強効果(ドパミンD_1およびD_2受容体のSubsensitivity)は百日咳毒素(1μg,i.c.v.)の投与によっていずれも増強された.一方、コレラ毒素(1μg,i.c.v.)の投与によって、SCH23390によるカタレプシーは増強されたが、Haloperidolによるカタレプシーは影響されなかった.マウスにおいて、コレラの毒素を静脈内(i.p.)に投与した場合にも同様の結果が得られた.分裂病の陰性症状に有効であると言われているClozapineおよびRisperidoneをCocaineと併用投与するとClozapineはSCH23390カタレプシーの増強効果を抑制したがRisperidoneは影響を与えなかった.一方、Cocaine 21日間(11回)の最終投与の15日以降に生ずる強制水泳による無動状態の増強はClozapineの併用投与によって抑制された.Risperidoneによっても抑制される傾向を示したが有意差は認められなかった.以上の結果により、Cocaine反復投与後長期離脱時に生ずる後シナプスのドパミンD_1およびD_2受容体の感受性の低下はコレラ毒素および百日咳毒素に感受性の強いGs-およびGi-蛋白質の両者のADP-リボシル化、あるいはGi-蛋白質のみのリボシル化のいずれかが関与することが示唆された.また、Cocaine反復投与からの長期離脱時に生ずるSCH23390およびHaloperidolカタレプシー反応の増強と強制水泳による無動状態の増強効果は互いに共通性を有することが考えられた.
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