研究概要 |
1.本研究の目的は,ラットに時刻および季節を変えて抗精神病薬またはセロトニンアゴニストを投与し,鎮静,体温低下効果を示標に,抗精神病薬の効果における概日および概年リズムの有無とその発症機序を解明することである. 2.恒温恒湿で,厳密に明暗条件を調整した条件下で長期間飼育したウイスター系雄性ラットを用いて実験を行った. 3.1日6時刻のいずれかにセロトニンアゴニストの8-OH-DPATを投与し体温低下作用を測定した.その結果,投与時刻に応じて効果が異なり,しかもその変化は概日リズムを形成することを見いだした.さらに同一の実験を3種の季節に行った結果,効果における概日リズムのパターンが季節により異なることが判明した.以上から脳のセロトニン受容体感受性の概日ならびに季節リズムの存在が示唆された. 抗精神病薬のハロペリドールを用いて同様の実験を進めている.現在までに,これに必要な行動測定装置のセッティングを完了し,分析に必要なコンピュータのハードおよびソフトのセッティングもおおよそ完成することができた.現在,これを用いて投与量を決定するために用量反応曲線の検討を進めている.これが終了すれば,上記と同様に時刻,季節を変えて投与し,効果のリズムを確認する予定である.
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