研究課題/領域番号 |
09671001
|
研究機関 | 独協医科大学 |
研究代表者 |
中野 隆史 獨協医科大学, 医学部, 助教授 (20095037)
|
研究分担者 |
清水 恵子 獨協医科大学, 医学部, 助手
中山 公実 獨協医科大学, 医学部, 助手
中村 俊規 獨協医科大学, 医学部, 助手 (00285884)
斎藤 治 獨協医科大学, 医学部, 講師 (00153792)
大森 健一 獨協医科大学, 医学部, 教授 (00049165)
|
キーワード | 健常老年者 / 生理的加齢 / 定量脳波 / 事象関連電位 / P300 / MMS |
研究概要 |
平成9年度に本研究に参加したシルバー大学に通う健常老年ボランティア約80名に対して、今年度も引き続き協力を依頼し、下記の検査を実施した。これまでにデータの解析が終了している35名の結果について報告する。事象関連電位は、目標刺激2000Hz(呈示確率20%)と非目標刺激1000Hz(呈示確率80%)からなる2種類のトーンバーストによる聴覚刺激によるodd-ball課題を用い記録した。定量脳波は、視察により雑音の混入しない安静、覚醒、閉眼状態の1分間を選定し、波形認識法による定量分析を行った。神経心理学的検査としてMini Mental State examination(以下MMS)、BenderGeschtalt test、数字の順唱・逆唱、KN式VSTを施行した。今回の検討では、1年間の経過でP300潜時は約10ミリ秒の延長が認められた。従来のP300潜時の加齢変化についての報告では1年間に1-2ミリ秒といわれているのと比べて延長の度合いは大きかった。本研究は同一対象を経時的に追ったことがこれまでの報告と異なる点であり、今後の変化に注目したい。定量脳波においては、1年間の経過の中で、徐波の出現率の低下、速波の出現率の増加が認められた,脳機能の低下と関連するとされ、老年期にみられる徐波の出現量の増加や速波の減少は認められなかった。本研究の対象は神経心理学的検査で脳機能の低下がほとんどみられない健常老年者でるため、徐波の出現率の低下、速波の出現率の増加という生埋的な加齢による脳波変化を示したと考えられる。また、事象関連電位と定量脳波の相関について検討した結果、MMS得点が1年間の経過で低下した群においてのみ、P300潜時の延長と徐波出現率の増加および速波出現率低下との間に有意の相関が認められた。これらの相関をみることでより早期に脳機能低下を発見できる可能性があると考えらる。
|