研究課題/領域番号 |
09671002
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研究機関 | 北里大学 |
研究代表者 |
玉井 洋一 北里大学, 医学部, 教授 (80050441)
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研究分担者 |
田口 文章 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (40050455)
三浦 貞則 北里大学, 医療衛生学部, 教授 (70050383)
笹原 武志 北里大学, 医学部, 講師 (10154014)
中村 和生 北里大学, 医学部, 講師 (40189030)
小嶋 久子 北里大学, 医学部, 助教授 (90118810)
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キーワード | クロイツフェルト・ヤコブ病 / 伝達性海綿状脳症 / 海綿状変性 / 一酸化窒素(NO) / 一酸化窒素合成酵素(iNOS) / サイトカイン |
研究概要 |
[実験目的]クロイツフェルト・ヤコブ病(CJD)をはじめとする伝達性海綿状脳症の脳の海綿状化の機構は明らかでない。われわれは先に、CJD因子を接種したマウスで臨床症状の発現と前後して一酸化窒素合成酵素(iNOS)-mRNAが発現することを観察し、病態と一酸化窒素(NO)との相関性について報告した。本年度は海綿状化の発現におけるNOの必須性を検証するため、iNOS遺伝子欠損マウスにCJD因子を接種した結果を報告する。[実験結果]iNOS遺伝子欠損マウスC57BL/6-Nos2<tm1Lau>,homozygous,はJackson Laboratoryより購入した。野性株(C57BL/6)とともにCJD北里1株および対照としてPBSを脳内接種した。症状発現前の15週目と死亡直前に脳を採取した。潜伏期間は野性株、ノックアウトマウスの両群とも17週であった。iNOS-およびGFAP-mRNAをRT-PCR法で検索した結果、野性株ではiNOS-mRNAは臨床的に発症が認められる15週目ですでに強い発現が見られ、以後臨床経過とともに増強した。ノックアウトマウスとPBS接種群ではiNOS-mRNAは検出されなかった。GFAP-mRNAも15週目で検出され、しかもiNOS(+/+)群と(-/-)群との間に顕著な差は観察されなかった。脳の組織変化をHE染色で調べた。CJD因子接種群では症状発現前の15週目ですでに中等度から激しい空胞変性が大脳、小脳にびまん性に観察された。HE染色像はiNOS(+/+)群と(-/-)群との間に個体差以上の病変の程度や分布上の差は認められなかった。[結論]サイトカイン(平成9年度)とiNOSのノックアウトマウスを用いた一連の実験から、伝達性海綿状脳症に見られる神経細胞の崩壊やミエリンの空胞変性にサイト力インやiNOS系が必須の因子ではないと結論した。
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