平成9年度の研究目的は、適切な反応集団についての反復的な予備調査により、(1)項目を収集、作成し、その反応得点に基づいて起床時睡眠感の統計的尺度値を算出すること、および(2)短時間に行える臨床時調査と起床時調査に検査を簡素化する方式に改善することである。方法としては、測定対象の決定から尺度化理論の吟味をへて項目選択、弁別力ある項目のための統計分析を繰り返しおこない、よりよい項目群に統計的に選別、収斂させることである。測定対象としてまず健常者(大学生、1320名中有効反応数650名)を予備調査の対象とした。各項目の反応得点を得る尺度化理論として、母集団分布に正規化をほどこすシグマ値法を採用し、尺度値を算出した。項目の各反応カテゴリーに対して、それぞれの反応比率をベースにした変数変換をおこなって重み(weight)をつけ、心理的距離とした。次に、この重みづけられたカテゴリーに対する反応値にもとづいて、各項目が睡眠感の高低反応を識別できる弁別力の有無を統計的に検定(t検定)した。その結果、現在のところ、起床時に、睡眠感を問える項目として16項目が健常者用に選別できた。それら各項目は両極性の4件法カテゴリーで構成されている。しかしまだ睡眠感全体をカバーしている保証はなく、平成10年度の因子分析等の特性分析によって補充、修正をする必要がある。
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