これまでの我々の検討により、ラット脂肪細胞において、インスリンによるGLUT4のエキソサイトーシス促進作用に低分子量GTP結合蛋白であるRab4が関与することが示された。さらに本研究では、インスリンによりRab4が活性化されるか検討するために、細胞膜を透過性にしたラット脂肪細胞に^<35>S-GTPγS量を投与し一定時間インキュベーション後、Rab4を免疫沈降しRab4に結合した^<35>S-GTPγS量を測定した。Rab4への^<35>S-GTPγS結合量はインスリンの存在により約2倍促進され、このインスリン作用はPI3キナーゼ阻害剤であるワ-トマニンにより完全に抑制された。したがって、インスリンはPI13キナーゼを介する機構によりRab4を活性化しGLUT4のトランスロケーションを促進することが示唆された。 一方、本研究において、我々はGLUT4のエンドサイトーシスを調節するGTP結合蛋白として、トランスフェリン受容体などのエンドサイトーシスへの関与が報告されているGTP結合蛋白であるダイナミンに注目し、GLUT4のエンドサイトーシスへのダイナミンの関与について検討した。Chinese Hamster Ovary(CHO)細胞にGTP結合能のない変異ダイナミンを発現させると、GLUT4の細胞内分布は変化し、細胞表面に分布した。このGLUT4の細胞内分布はインスリン処理あるいはインスリン+ワ-トマニン処理によっても変化せず、GLUT4のエンドサイトーシスが抑制された結果であると考えられた。したがって、GLUT4のエンドサイトーシスにダイナミンが関与することが強く示唆された。
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