1. in vivoでのSDMFの発現調節:RT-PCR法を用い、ラットバルーンカテーテル傷害モデルでSDMF/PCP enhancer proteinは傷害前は発現がなく、傷害後3-14日目のみに強く発現した。これを確認するためnorthern blotで解析したところ、傷害前では発現が無く、傷害14日目では強い発現が見られRT-PCRの成績が確認された。更に、in situ hybridization法で染色したところ、SDMF/PCP enhancer proteinのmRNAは傷害前は発現していなかったが、傷害14日目には肥厚した内膜部分に強く発現していた。中膜には発現していなかった。また、この発現はI型コラーゲンの発現パターンと似ていた。これらの成績は前年度報告した収縮型平滑筋細胞には発現がなく、合成型平滑筋細胞に発現しているという成績と一致するものと思われた。 2. SDMFの発現調節:培養ラット合成型平滑筋細胞を用いて実験を行った。SDMF/PCP enhancer proteinはnorthern blotにより解析した。培養メディウムより血清除去後、12、24、48時間とSDMF/PCP enhancer proteinのmRNAの発現が亢進した。次に、血清除去している平滑筋細胞に血清を添加し、細胞を増加させてコンフルエントになるまで培養し、SDMF/PCP enhancer proteinの発現をみた。血清添加1日目は極めて発現が弱くなったが、細胞密度が上昇するにつれて発現が上昇した。また、平滑筋細胞でのSDMF/PCP enhancer proteinの発現と培養メデイウムの平滑筋細胞遊走活性は比例していた。サイトカインのうち、TGF-βは平滑筋細胞でのSDMF/PCP enhancer proteinの発現を促進した。
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