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1997 年度 実績報告書

細胞膜カルシウム受容体の機能とその異常病態に関する臨床研究

研究課題

研究課題/領域番号 09671029
研究種目

基盤研究(C)

研究機関東京大学

研究代表者

五十嵐 徹也  東京大学, 医学部附属病院分院, 助教授 (00134601)

キーワードカルシウム / カルシウム受容体 / 心房性ナトリウム利尿ホルモン
研究概要

1.背景 これまで行われた、細胞外および細胞内のカルシウム(Ca)代謝と遺伝子の発現調節、物理的刺激による細胞形態の変化とCaによる遺伝子発現調節との連関、Ca代謝異常病態における細胞膜Ca受容体の機能に関する臨床・基礎研究という一連の研究により蓄えられた基礎的知見(J Biol Chem 266:21903-21910,1991、J Clin Invest 89:1268-1273,1992、J Biol Chem,269:27855-27862,1994、J Biol Chem,271:8593-8598,1996)の臨床応用的研究として計画された。2.目的 ANP遺伝子にはPTH遺伝子に見られるnegative Ca反応性エレメントがあり、その分泌が細胞外Caによって負の調節を受けることが動物実験で明らかにされているが、ヒトでCa負荷を行って検討されたという報告はない。さらにこの分泌抑制が、細胞外Caの直接作用によるのかについても判明していない。本年度はこれらを明らかにする目的で以下のような臨床研究を行った。3.成果 (1)家族性低Ca尿性高Ca血症(FHH)の患者、特発性副甲状腺機能低下症の患者、正常コントロールそれぞれ2例ずつにCaを経静脈的に負荷した。経時的に血清Ca濃度、血漿レニン活性などの細胞外液量の指標となるパラメータとともに血漿ANP濃度を測定した。その結果、負荷前の血清Caレベルが全く異なるものの、3群全群で細胞外Caの上昇が見られ、これに伴う血漿ANP濃度の低下が認められた。血中CaとANP濃度をプロットしたところ、FHH群ではPTH分泌における血中Caのセットポイントと同様に、ANP分泌における血中Caのセットポイントも異なっていることが判明した。したがってANPの分泌抑制に血中Caレベルが直接関与している可能性があり、FHH群でセットポイントがシフトしていたことから、細胞外CaによるANPの分泌抑制もPTH分泌の場合と同様に、細胞外Ca受容体が関与している可能性が示唆された(日本内分泌学会1997、日本内分泌学会誌 73:190,1997)。(2)本家系におけるCa受容体遺伝子変異を検出する目的で末梢血有核細胞からDNAを抽出し、Ca受容体遺伝子の各エクソンを同定するためのプローブ作成を完了した。一方、治療面での応用として、(3)現在臨床応用が待たれているCa受容体アゴニスト(KRN-R568)を用いた副甲状腺機能亢進症の治療法確立のための治験第2相試験をスタートさせた。また、このアゴニストのより広汎な治療適応の可能性とその理論的根拠を明らかにする目的で、培養細胞にCa受容体cDNAを発現させたシステムを確立し、予備実験を開始している。さらに、(4)この調節型は血清浸透圧の変化によっても作動することが示唆され、この機序について培養細胞系を用いた基礎検討を行った。

  • 研究成果

    (1件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (1件)

  • [文献書誌] T.Okazaki, T.Ishikawa, S.Nishimori, T.Igarashi, K.Hata, T.Fujita: "Hyperosmolarity-induced gene stimulation is mediated by the negative calcium responsive element" J.Biol.Chem.272. 32274-32279 (1997)

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公開日: 1999-03-15   更新日: 2016-04-21  

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