(1) 偽性副甲状腺機能低下症Ib型の病因の検討:偽性副甲状腺機能低下症は副甲状腺ホルモン(PTH)への不応性を特徴とする疾患である。我々は従来PTH/PTH関連蛋白受容体の異常に基づくと想定されてきた本症Ib型患者を検討し、PTH/PTH関連蛋白(PTHrP)受容体cDNAには変異やmRNAのスプライシングの異常は存在しないことを明らかにした。一方これらの患者ではPTH/PTH関連蛋白受容体発現の低下が認められたことから、本受容体発現調節機構の異常により偽性副甲状腺機能低下症がもたらされる可能性が考えられる。そこでさらにヒトPTH/PTHrP受容体のプロモーター領域をクローニングし、本症患者におけるプロモーター領域や5非翻訳エクソンに異常が存在するかどうかを検討したが、やはり異常は認められなかった。さらに昨年連鎖解析から、本症の原因遺伝子がPTH/PTHrP受容体遺伝子座とは異なる部位に存在することが明らかとなり、PTH/PTHrP受容体異常は偽性副甲状腺機能低下症lb型の原因ではないと結論された。 (2) PTH分泌調節機序の検討:PTH分泌異常を示す高Ca患者および低Ca患者において、それぞれCa感知受容体の新規変異を同定し、これらの変異受容体の機能異常を証明した。従ってCa感知受容体が、PTH分ピ泌に必須の受容体があることが確認された。
|