研究概要 |
糖尿病合併症の進展と血小板凝集の亢進は関連があると考えられている。我々は、thiazolidinedionesのうちtroglitazoneはvitaminEと同様に血小板凝集抑制作用やPKC抑制作用を有していることをin vitroで明らかにした(Diabetes 47,1494-1500,1998)。これによりtroglitazoneはインスリン感受性を改善するばかりではなく、糖尿病性合併症の進展を防ぐ可能性も示された。最近、高血糖で活性化されるPKCβが糖尿病合併症の進展に関与することが腎、眼などで示されている。我々も、糖尿病患者血小板を単離し、血小板の細胞質、膜、細胞骨格の各分画のPKCisoformの免疫活性を検討し、明らかに細胞質画分でPKCα,βの免疫活性が増加していることを見いだした。それ故、血小板凝集を抑制し、conventional PKCを抑制するPKC阻害剤の開発は糖尿病合併症の治療としても有効であろう。従来より、開発されている各種PKC阻害剤、H7、sphingosine,GO6976,RO31-8220,RO32-0432,LY379196のトロンビン、ADP,collagenによるヒト血小板凝集に対する効果をアグリゴメー夕を使用して検討し、糖尿病合併症治療に対する有効性をin vitroのデーターより推察することが必要である。
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