研究概要 |
骨芽細胞様MC3T3-El細胞において、骨代謝に作用を有する種々の生理活性物質によるストレス蛋白質(heat shock protein,HSP)27の誘導におよぼす影響を検討し、以下の結果を得た。 1. プロスタグランジン(PG)F2α、血管作働物質であるエンドセリン-1(ET-1)およびスフィンゴミエリンの代謝産物であるスフィンゴシン-1-リン酸(SPP)が用量依存的にHSP27の誘導を促進することを高感度イムノアッセイ(EIA)にて見いだした。同時に、PGF2αはHSP27のmRNAの発現を促進することを確認している。 以上、骨芽細胞において種々の生理活性物質がHSP27を誘導することを初めて見いだした。 次にこの結果を踏まえHSP27の誘導における細胞内情報伝達機序の検討を行い、以下の結果を得た。 1. PGF2αはホスフォリパーゼ(PL)Cによるイノシトールリン脂質代謝回転およびPLDによるコリン脂質代謝回転を刺激し、その結果プロテインキナーゼ(PK)Cの活性化を介して、HSP27の誘導を促進することを見いだした。さらにPKCの下流においてMAPキナーゼスーパーファミリーのうちp42/p44MAPキナーゼの活性化が促進的な役割を果たしていることを明らかとした。 2. ET-1はPLCによるイノシトールリン脂質代謝回転およびPLDによるコリン脂質代謝回転を刺激し、その結果PKCの活性化を介して、HSP27の誘導を促進することを見いだした。さらにPKCの下流においてMAPキナーゼスーパーファミリーのうちp38MAPキナーゼの活性化が促進的な役割を果たしていることを明らかとした。 3. SPPはMAPキナーゼスーパーファミリーのうちp38MAPキナーゼの活性化を介しHSP27の誘導を促進していることを明らかとした。
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