研究概要 |
家族性男子思春期早発症(FMPP)において黄体化ホルモン受容体(LHR)活性化型変異Asp^<578>→Glyを初めて同定した。ホルモンなしに活性化を起こすconstitutive activation(CA)を示す。Asp^<578>を他のアミノ酸に置換した。Asnへの変異ではCA(-)Gluへの変異でCA(+)を示し、Asp^<578>のβ-C=O基で形成される水素結合がLHRの非活性化状態維持に寄与していた。水素結合のpartnerの同定のため、モデリングにより、possible partnerとして第7膜貫通helixのAsn^<619>を見いだした。Asn^<619>をGlu,Glnに変異させるとCAを示した。D578SはCAを示すが、D578S+N619Qでは、CAは消失、野生株と同じ性状を示した。このdouble mutationでは、アミノ酸578と619の側鎖の長さの和が野生株のAsp^<578>とAsn^<619>のそれと同じであり、SerとGlnはAspとAsnと同様に水素結合を起こしうることから、Asp^<578>とAsn^<619>の空間配置はコンピュータモデルより想定されたものと一致し、水素結合の存在が裏付けられた。受容体非活性化状態を維持する膜貫通領域のinterhelical bond networkの一端を初めて明らかとした. FMPPで同定されたAsp^<564>変異について検討した。Asp^<564>→GluではCA(-)、Asnへの変異でCA(+)を示し、Asp^<564>のnegative chargeが非活性化状態維持に重要であった。 Asp^<578>の変異とのdouble mutantsではCAの程度は相加的であり、Asp^<578>とは異なるinterhelical bond networkの存在を明らかとした。 黄体化ホルモン受容体と類縁のG蛋白共役型受容体である甲状腺刺激ホルモン受容体でも相同の水素結合の存在を明かとした。
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