研究概要 |
本研究では、ダイナミンIIのpleckstrin homology(PH)ドメインおよびC末のproline-richドメインを欠失させ、epitope-tagを付加した変異体を、上皮成長因子(EGF)受容体を過剰発現させたCHO細胞に導入し、受容体のインターナリゼイションに及ぼす影響等を検討した。PHドメインを欠失させた改変ダイナミンII(ΔPH)を発現させた細胞では、^<125>I-EGFのインターナリゼーションは著しく低下していたが、proline-richドメインを欠失させた改変ダイナミンII(△Pro)を発現させた細胞では、^<125>I-EGFのインターナリゼーションは、野生型を導入した細胞に比べて少しの低下にとどまった。これらの改変ダイナミンIIを発現させた細胞を可溶化し、抗EGF受容体抗体で免疫沈降し抗epitope-tag抗体で免疫ブロットすると、野生型および△PHはEGF受容体と共沈したが、EGF受容体と共沈する△Proは著しく低下した。In vivoおよびin vitroで、△PHは二量体を形成せずに単量体として存在したが、△Proは二量体を形成し、野生型は多量体を形成した。ダイナミンIIのGTPase活性はGrb2の結合により増強するとされているが、△PH,△ProともGrb2の有無なかかわらず、GTPase活性は著しく低下していた。以上の結果より、受容体のインターナリゼーションには、ダイナミンIIのPHドメインおよびproline-richドメインの両方が必要であることが示唆された。目下、ダイナミンIIの点変異体を作成し、adenovirus vectorを用いて細胞に導入することにより、さらに詳細に検討中である。
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