1、 GHRH受容体遺伝子発現調節機構の解析 (1) GHRH受容体遺伝子5'上流配列デリーション実験により、翻訳開始点より、130から310塩基上流領域が、下垂体特異的発現に重要であることを明らかにした。この領域には成長ホルモン産生細胞に特異的な転写因子であるPit-1のコンセンサス様配列が2箇所存在した。また、2.2Kから1.4Kの領域にはサプレッサーの存在が推測された。 (2) Foot Print法で、上記Pit-1コンセンサス様配列のうち、1箇所にPit-1が結合することを明らかにした。 (3) Mobility Shift法で、上記Pit-1コンセンサス様配列のうち、2箇所にPit-1が結合するが、その結合親和性が大きく異なることを明らかにした。Foot Print法で、1箇所にしかPit-1が結合しなかったのは、親和性の差によると考えられた。 (4) 上記Pit-1結合配列にMutationを加え、GHRH受容体遺伝子のPit-1結合性と、転写促進能が平行することをMobility Shift法、一過性発現実験で確認した。 (5) 各種ホルモンのGHRH受容体遺伝子発現に及ぼす効果を一過性発現実験で検討し、エストロジェン、デキサメサゾンが発現を抑制することを見い出した。さらに、その作用発揮に重要な上流領域を明らかにした。 2、 GHRP受容体遺伝子発現調節機構の解析 (1) ヒトゲノムライブラリーから、GHRP受容体遺伝子5'上流配列をクローニングし、塩基配列の決定を行なった。さらに、5'RACE法で転写開始点を推測した。 (2) 5'上流配列の機能解析を行い、-734から-608の領域が転写活性化に必要であることを明らかにした。上流配列にはPit-1コンセンサス様配列が存在するが、GHRH受容体遺伝発現とは異なりPit-1は明確な転写促進効果を示さなかった。
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