1)ACTH産生腫瘍10例の下垂体病理標本、2例の凍結切片を収集した。病理標本よりのDNA抽出法の基礎検討を行っているが、回収率の高い方法を模索中である。また、健常人およびACTH産生腫瘍数例の末梢血白血球よりDNAを抽出した。 2)グルココルチコイド受容体(GR)は10のエクソンからなるが、各エクソンを増幅しうるプライマーを設計し、これらのプライマーを用いてPCRによる増幅が可能であることを確認した。そこで、健常人およびクッシング病患者の末梢血白血球DNAを用い、GR各エクソンのSSCPおよび直接シークエンシングの基確検討を行った。その結果、PCR増幅DNAの直接シークエンシングは、本研究施設で確立したシステムで可能であることが明らかになった。検討した数例のクッシング病患者において、末梢血DNAのGRの少なくともエクソン1の塩基配列には、変異を認めなかった。一方、SSCP法においては、条件設定の基礎検討を行った。GRの突然変異が明らかなDNAを入手できないため、遺伝子異常が明らかになっている他の内分泌疾患症例の末梢白血球DNAを用いた検討の結果、温度設定が重要であることが明らかとなった。
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