レムナント(カイロマイクロンレムナント、VLDLレムナント)は、動脈硬化惹起性リポ蛋白と考えられているが、その体内代謝動態については不明な点が多い。そこで、今回新しいトレーサー実験法を使って、レムナント代謝異常症のヒトのモデルであるIII型高脂血症患者でのレムナント代謝を非レムナント分画と比較検討した。入院の上、5名のIII型高脂血症患者に対して、D3ロイシンを12時間点滴静注した。点滴後、0、10分、1、2、3、4、5、6、8、10、12、13、14、18、24、36、48、72時間に採血した。血清分離後、超遠心法にて、VLDL、IDL、LDLを分画し、さらに抗アポ蛋白B-100モノクローナル抗体を用いてレムナント分画と非レムナント分画に分けた。それぞれの分画からSDS-PAGE法でアポ蛋白B-100を分離し、水解、アミノ酸抽出、アミノ酸誘導化を行い、ガスクロマトグラフ質量分析計でtracer/tracee(T/T)ratioを求めた。T/TRatioを代謝モデルにあてはめ、代謝パラメーターを算出した。その結果、レムナント分画と非レムナント分画に差は認められなかった。以上から、レムナントの代謝は、非レムナントと異ならないことが判明した。
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