研究課題/領域番号 |
09671076
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
三木 伸泰 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40157467)
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研究分担者 |
村田 洋二 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50277117)
小野 昌美 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90152537)
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キーワード | 成長ホルモン / 成長ホルモン放出因子 / 受容体 / 下垂体 / 視床下部 / クローニング |
研究概要 |
今年度の研究では、まず成長ホルモン放出因子(growth hormone secretagotue,GHS)のラット受容体の全長cDNAをcloningし、そのmRNAの測定系を確立し、遺伝子発現調節に関して少なくとも予備的実験をおこなうことを目的としたが、この目標を十分に達成し得た。 まず最初に我々は、ラットGHS受容体の翻訳領域の5端、中央部、3端の3種のcDNA断片の核酸配列を決定した。この配列をもとに、ほぼ全長に近い約935塩基のcDNAをPCRで増幅した。そして、RACE法を用い、5'、3'の非翻訳領域を含む1759塩基の全長cDNAのcloningに成功した。このラットGHS受容体は7回膜貫通型の典型的なG蛋白共役型受容体の核酸構造を示し、ラット、ヒトの受容体とは94-95%の高い相同性を認めた。次に我々は、この受容体の視床下部を中心にした脳内分布を検討した。この手段として、digoxigeninで標識した935塩基のcRNA probeを用いるin situ hybridizationを確立した。GHS受容体のmRNAは、視床下部の弓状核、腹内側核のみならず海馬、歯状回にも検出され、GHSリガンドが下垂体機能の調節のみならず、記憶、学習等の高次神経機能にも関与することが示唆された。最後に我々は、微量のGHS受容体mRNAを定量しうる高感度のRNase protection assayの確立にも成功した。活性型のIa型のみ認識するプローブと、C端が欠損したIb受容体も認識するプローブを用いた比較定量の結果、Ib型は存在しても極めて少ないと予想された。ラットGHS受容体mRNAは下垂体より視床下部に優位に発現し、ヒト成長ホルモンで処置により明確な変動が観察されたので、GHS受容体の遺伝子発現は成長ホルモンにより制御を受ける可能性が強く示唆された。 したがって、今後の研究の発展に必要にして十分な初期成果をあげられたと思われる。
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