研究課題/領域番号 |
09671076
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研究機関 | 東京女子医科大学 |
研究代表者 |
三木 伸泰 東京女子医科大学, 医学部, 講師 (40157467)
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研究分担者 |
村田 洋二 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (50277117)
小野 昌美 東京女子医科大学, 医学部, 助手 (90152537)
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キーワード | 成長ホルモン / 成長ホルモン放出因子 / 受容体 / 下垂体 / 視床下部 |
研究概要 |
平成10年度の研究は、前年度にクローニングし、かつ脳内分布をin situ hybridizationで明らかにしたラット成長ホルモン放出因子(growth hormone secretagogue,GHS)受容体の遺伝子発現制御につき基礎的実験を行った。まず、標準的なmRNA検出法であるノーザンブロット法を用いたがほぼ全長に近い953塩基のcRNAプローブを用いてもシグナルは検出できず、遺伝子発現量は極めて少ないことが判明した。そこで、クローニングした翻訳領域の5″端、中央部、3″端の3種のcDNA断片からcRNAプローブを作成し、感度と特異性に優れるといわれているRNase protection assayを確立した。その結果、5'端のプローブが最も再現性と定量性に優れており、以後これを測定用のプローブとした。視床下部と下垂体でGHS受容体遺伝子発現量を比較したところ、視床下部に比較して下垂体のmRNA発現量は3-4分の1と低く満足のいくシグナル強度が得られなかった。下垂体のGHS受容体mRNAレベルはGRH受容体mRNAの10%以下であり、さらにラット下垂体前葉細胞の初代培養系ではシグナルが検出できないほど低値であった。そこで、検出感度を向上させるためプローブの^<32>P放射活性を増し、ハイブリの条件を変更し、またimaging plateへの暴露時間を延長して感度を約10倍向上させた。この改良により、極めて安定したGHS受容体mRNA測定系の確率に世界で初めて成功した。ラットGHS受容体mRNAは5日間にわたるヒトGHの処置により下垂体では有意な抑制が観察され、下垂体GHS受容体の遺伝子発現はGHにより負のfeedback制御を受けることが示唆された。一方、遺伝子発現量の多い視床下部ではGHS受容体mRNAレベルはヒトGH処置で変動しなかった。したがって、GHS受容体の発現制御機構は下垂体と視床下部で異なる可能性がある。
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