我々は、正常ヒト骨芽細胞が、血管内皮細胞の増殖刺激因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)のmRNAを産生していることを見い出し、活性型ビタミンDが骨代謝にanabolicに作用する機序を見い出した。 そこで、今年度は、骨代謝にanabolicおよびcatabolicにも作用することの知られているヒト成長ホルモン(hGH)が、ヒト骨芽細胞(これは骨代謝異常のない患者の手術時に得られたものである)に直接どのような作用を及ぼすかを検討した。 HGHは、正常ヒト骨芽細胞の増殖を刺激し、アルカリ・フォスファターゼ活性を促進した。また、骨形成のマーカーであるosteocalcinの産生をも促進した。このanabolic作用は、20Kの成長ホルモンでも22Kdの正常の成長ホルモンでも全く同等であることを見い出した。また、hGHには骨吸収促進因子であるinterleukin-6産生を促進する作用も確認された。したがって、hGHは骨のリモデリングを亢進させるIL-6の産生を促進すると同時に、骨代謝にanabolicに作用するものと推測された。
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