研究概要 |
我々は、正常ヒト骨芽細胞が、血管内皮細胞の増殖刺激因子(vascular endothelial growth factor:VEGF)のmRNAを産生していることを見い出し、報告している。また、骨形成は血管の周辺部に常に生じてくることが知られている。 一方、活性型ビタミンD(1,25-(OH)2D3)は、骨粗鬆症の治療に広範に使用されており、骨密度を維持する作用があることが確認されている。そこで、正常ヒト骨芽細胞と正常ヒト血管内皮細胞の共培養系を確立し、1,25-(OH)2D3は、ヒト骨芽細胞に作用してVEGFの産生を促進すること、VEGFはparacrine的に作用して、血管内皮細胞の増殖を刺激すること、また増殖を刺激された血管内皮細胞はVEGF受容体(VEGF-R)1型および2型を発現すること、またVEGF刺激によりInsulin-like growth factor I(IGF-1)やendethelin 1などの骨芽細胞にanabolicに作用する成長因子を産生すること、これらのosteotrophicな成長因子により、骨芽細胞の増殖や分化が促進されることを見い出した。 さらに、成長ホルモンがヒト骨芽細胞に作用してanabolicに作用することを確認し、このanabolic作用は、20Kの成長ホルモンでも22Kdの正常の成長ホルモンでも全く同等であることを見い出した。また、hGHには骨吸収促進因子であるinterleukin-6産生促進作用もあるので、骨のリモデリングを亢進させる作用があるものと推測される。現在、成長ホルモンにも1,25-(OH)2D3と同じ様な機序(VEGF/VEGF受容体系の相互作用)で、骨形成促進作用があることを共培養系を用いて検討中である。
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