研究概要 |
1.新たなTBG増多症の男児症例を解析した。sporadic症例で、母親、父親のTBG値は正常、男児のそれは正常の2倍。TBGの遺伝子量をDuprex PCR,HPLC法により定量し患児に2倍の増幅を認めたが、両親の遺伝子量は正常であった。従って患児の代に遺伝子増幅がde novoに生じたものと考えられた。染色体のFISHでは増幅を確認できなかった。 2.これまでにTBG増多症の散発例2家系、家族例7家系の合計9家系を解析し、全ての患者にDuprex PCR,HPLC法で、TBG値に対応したTBG遺伝子量の増幅を認めた。3倍増幅を5家系、2倍増幅を4家系、散発例2家系はいずれも2倍増幅であった。このことから、遺伝子増幅は2倍を経由してから3倍増幅に至ることが推測され、増幅の機序として減数分裂時の交叉不均衡を支持する結果と考えられた。 FISHにおいて、1例のみが増幅を確認でき、他の8家系と増幅範囲が異なることが推測された。 3.正常人と増幅症患者のGenomic DNAからChromosome walkingを施行するための、pWE15 Constructを作成した。今後Chromosome walkingにより、染色体Xq22.2周辺の遺伝子地図を詳細に作製し、さらに正常、増多症での遺伝子地図の比較検討により、増幅単位、成長関連遺伝子の同定を行う予定である。
|