研究課題/領域番号 |
09671084
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
内分泌・代謝学
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
矢野 秀樹 千葉大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (30288576)
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研究分担者 |
城森 孝仁 三和化学研究所, 創薬研究部, 課長
山田 祐一郎 京都大学, 大学院・医学研究科, 助教授 (60283610)
清野 進 千葉大学, 大学院・医学研究科, 教授 (80236067)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1999
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キーワード | GIP受容体欠損マウス / インスリン分泌 / インスリン抵抗性 / 高脂肪食負荷 / 糖尿病 / Diabetes mellitus |
研究概要 |
GIPはインクレチンとして膵β細胞からのインスリン分泌を促進する。糖尿病患者ではGIPに対するインスリン分泌障害が認められ、GIPの糖尿病発症への関与が注目されている。GIPのシグナルを遮断すべくGIP受容体欠損マウス(-/-マウス)を作成した。グルコース8.3mM存在下GIP100nM刺激での単離ラ氏島よりのインスリン分泌は、野生型マウス(+/+マウス)ではGIP刺激非存在下に比べて2.9倍に増強するのに対し、-/-マウスではGIPに対する反応は全く認められず、-/-マウスのGIP受容体の機能消失を確認した。空腹時血糖、体重は12週齢まで両群間で有意差を認めなかった。IPGTTでは空腹時血糖、頂値共に+/+マウス、-/-マウス間に有意な差を認めなかった。18時間の絶食後のOGTTでは、負荷前血糖は両群問で有意差を認めなかったが、糖負荷後の頂値は-/-マウスで有意の高値を示したことから、この-/-マウスは耐糖能異常を来していることが明らかとなった。次に3週間高脂肪食にて飼育し、食餌負荷試験を行った。+/+マウスでは、通常食飼育群、高脂肪食飼育群共に血糖曲線に有意な差を認めず、血中インスリンは高脂肪食飼育群において有意に高値であり、高脂肪食飼育によりインスリン抵抗性とそれを代償するインスリン分泌の亢進が惹起されたものと考えられる。一方、-/-マウスでは、通常食飼育群に比し高脂肪食飼育群で血糖はより上昇し、血中インスリンは+/+マウスで認められたインスリン抵抗性を代償するインスリン分泌の亢進がほとんど認められなかった。GIPシグナル伝達の障害は、インスリン分泌を促進することができないため高脂肪食飼育によるインスリン抵抗性は代償されず、血糖恒常性の破錠につながることを明らかにした。すなわち、消化管と膵β細胞間のクロストークの破錠により糖尿病が発症しうることを示した。
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