研究課題/領域番号 |
09671088
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所 |
研究代表者 |
青野 幸子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 主任研究員 (20231780)
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研究分担者 |
尾関 順子 愛知県心身障害者コロニー発達障害研究所, 周生期学部, 助手
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キーワード | ギルバ-ト症候群 / 体質性黄疸 / ビリルビン:UDP-グルクロン酸転位酵素 / ビリルビン / 優性遺伝 / クリグラー・ナジャール症候群タイプI / ガンラット / クリグラー・ナジャール症候群タイプII |
研究概要 |
我々はすで約20例のギルバ-ト症候群の遺伝子解析を行い報告している。今回、ギルバ-ト症候群をもつ一家系を新たに見いだした。発端者は55歳の女性で、ビリルビン値は3.2mg/dl、ビリルビン:UDP-グルクロン酸転位酵素活性は正常値の1/5で、ギルバ-ト症候群と診断された。遺伝子解析を行ったところ、エクソン4にヘテロで変異が見つかった。1099番目のCがGに変化しており、アミノ酸として367番目のアルギニンがグリシンに置換されていた。患者の父親、姉、長女、長男ともヘテロで同じ変異が見つかり、ビリルビン値も高かった。この家系をみるかぎり、ギルバ-ト症候群は優性遺伝していることが示唆された。 この家系ではビリルビン値が容易に変動し、ストレスによるビリルビン値の増加が認められた。クリグラー・ナジャール症候群タイプIのモデル動物であるガンラットにストレスを与えたところ、やはりビリルビン値の上昇がみられた。代謝異常をもつヒトとラットでストレスによってビリルビン値が上昇する機構は同じである可能性が示唆された。 1993年に報告したクリグラー・ナジャール症候群タイプIIの患者では3箇所で変異が見つかっている。この患者の両親、兄、姉はいずれもヘテロで同じ変異を持っており、父親を除いて皆高ビリルビン血症を示した。どの変異によってビリルビン:UDP-グルクロン酸転位酵素活性の減少がひきおこされているのか明らかにするために、これらの変異を正常cDNAに組み込み、現在COS細胞にこの変異cDNAを導入中である。変異cDNAを発現している細胞から得られ次第、その酵素活性を測定する予定である。 父親は同じ変異を持ちながら高ビリルビン血症を示さないが、その理由を明らかにするため調節領域の塩基組成を調べたところ、他の家族とは異なる配列が認められた。
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