研究概要 |
最近、chick PTH(parathyroid hormone)遺伝子等においてDR3型のnVDRE(negative vitamin D response element)が報告され、オステオカルシン遺伝子等の正の応答性を示すDR3型の配列(pVDRE)との違いが注目される。そこで、nVDREとpVDREを比較検討した。 A.nVDRE配列:1.GGGTCAggaGGGTGT(chick PTH遺伝子)、2.AGGCTAgccAGTTCA nx18GGTTCAgtgAGGTAC(rat PTH遺伝子)。これらのnVDREをそれぞれluciferase発現ベクターに挿入し、reporter plasmidを作製した。このreporterをSaos-2,COS7細胞に、後者ではビタミンD受容体発現ベクターと共に導入し、10^<-8>M1,25(OH)_2D_3を添加してその活性の変化を検討した。その結果、chickあるいはrat PTH遺伝子nVDREにおいて、添加群はcontrol群に比して、それぞれ86.7±6.3,86.4±10.3%の活性を示した。さらに、rat PTH遺伝子のnVDREを2つ含む場合でも1,25(OH)_2D_3添加群はcontrol群の85.9%の活性であった。 B.chick PTH遺伝子nVDREは、pVDREの配列と、最後の2塩基において異なる。従って、本nVDREの塩基配列をGGGTCAggaGGGTGAあるいはGGGTCAggaGGGTCAに置換し、ホルモン応答性を検討したところ、それぞれcontrol群の53.5,178.1%であった。最後の2塩基置換を行うとビタミンD応答性が負から正に転換された。 C.ビタミンDおよびレチノイドX受容体を用いて、in vitroにおけるnVDREとの結合性を検討したが、10^8M1,25(OH)_2D_3の添加によって、結合性の低下を認めなかった。
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