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1998 年度 実績報告書

骨髄性腫瘍疾患の病態におけるゲノム不安定性の機構の解明とその治療法の開発

研究課題

研究課題/領域番号 09671093
研究機関東京大学

研究代表者

山下 孝之  東京大学, 医科学研究所, 助手 (10166671)

研究分担者 浅野 茂隆  東京大学, 医科学研究所, 教授 (50134614)
中畑 龍俊  東京大学, 医科学研究所, 教授 (20110744)
キーワードファンコニ貧血 / FAA / FAC / 蛋白リン酸化 / 蛋白相互作用
研究概要

Fanconi貧血(FA)は、造血異常や染色体不安定性を特徴とする常染色体遺伝疾患であり、8つの異なる遺伝子異常を持つ群(A-H群)に分類される。各群は共通した細胞および臨床表現型を示すことから、各群に対応した遺伝子産物は密接に相互作用することが考えられる。これまでに、C群とA群の遺伝子FAC,FAAがクローニングされている。最近、両者の蛋白が結合し核内へ移行すること、またFAA蛋白がリン酸化されていることが判明した。そこで、これらのFA蛋白の作用をさらに解析した。正常人由来のリンパ芽球において、FAAとFACの結合、FAAのリン酸化が認められた。また、FAAおよびFACは細胞質だけでなく核内にも認められた。これに対して、FAAを欠損あるいは変異FAA(delF1263)を発現するA群の細胞、および変異FAC(L554P)を発現するC群の細胞では、これらは阻害されていた。それぞれの細胞に正常FAAあるいは正常FACを導入すると、これらは正常に復した。さらに、B,E,F,G,H群の細胞において、FAA/FACの結合、FAAのリン酸化はいずれも阻害を受けていたが、D群細胞においては、いずれも保持されていた。また、FAAとFACの核内移行はB,E群細胞において阻害されていたが、D群細胞においては保持されていた。以上の結果は、FAAリン酸化、FAA/FACの結合、FAAとFACの核内移行が密接に相関しつつ、FAB,E,F,G,H蛋白とも相互作用することを示唆する。一方、FAD蛋白のみはこの経路に直接関与せず、これより下流あるいは独立した経路で作用することが示唆される。以上の結果は、FAA,FACをはじめとするFA貧血蛋白群の相互作用からなる生化学的経路の存在を示した。この経路は正常造血や染色体安定性に必要であり、その異常がFAの発症につながると考えられる。

  • 研究成果

    (3件)

すべて その他

すべて 文献書誌 (3件)

  • [文献書誌] Yamashita,T.Asano,S.D'Andrea,A.D.et al.: "The Fanconi anemia pathway requires FAA phosphorylation and FAA/FAC nuclear accumulation" Proc.Natl.Acad,Sci.USA. 95. 13085-13090 (1998)

  • [文献書誌] Yamashita,T. Wakao,H.Miyajima,A & Asano.S.: "Differentration inducers modulate cytokino signaling pathways in a murine orythroleukemin cell line" Concer Res.58. 556-561 (1998)

  • [文献書誌] Kupfer,G.Yamashita.T D'Andrea,A,D.: "A patient-derived mutant form of the Fanconi anemia protein,FANCA,is defective in nuclear accumulation" Exp.Hematol.(印刷中).

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公開日: 1999-12-11   更新日: 2016-04-21  

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