研究概要 |
トロンボキサンA_2(TXA_2)産生は正常でありながら外来性TXA_2対して血小板が凝集しないトロンボキサン不応症を計6症例経験し、以下のことを解明した。すなわち、患者血小板よりAGPC法にてtotal RNAを抽出し、human TXA_2receptorのprimer(forward primer,5^1-GTGTGCAGCATCGGCCTGATG-3^1-reverseprimer,5^1-GAGGGGCGCTCT GTCCACTT-3^1)を用いてRT-PCR法にてTXA_2受容体の異常の有無を解析すると、全例Arg^<60>のLeuへ置換を認めた。このうち、4例はhomozygote,2例はheterozygoteであり、後者ではTXA_2による血小板凝集は欠損しているにもかかわらず、IP_3産生やカルシウム動員は正常であった。以上のことより、本症においてはTXA_2受容体のArg^<60>→Leuへの変異が現在報告されている唯一の異常であること、またTXA_2刺激時にはカルシウム動員と血小板凝集か必ずしもpararellではなく、heterozygote症例ではmutant type receptorがPhospholipase C活性化以外のメカニズムで血小板凝集を阻害している可能性があることをを明らかにした。
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