研究概要 |
悪性リンパ腫の発症、進展には染色休転座のみならず癌抑制遺伝子の異常が重要とされている。今回我々は染色体6番短腕における共通欠失領域の同定を行い、これら領域に存在すると考えられる新規癌抑制遺伝子を単離する目的で6p23-24領域の物理地図の作製を行った。 染色体6番短腕上の26種類のmicrosatellite markerについてびまん性B細胞性リンパ腫32例のリンパ節、末梢血及び骨髄単核球のDNAを用いloss of heterozygosity(LOH)解析を行った。また共通欠失領域を酵母人工染色体(YAC)クローンによりカバーし物理地図の作製を行った。 解析32症例中17例に少なくとも1つ以上の染色体6番短腕上のマーカーでLOHを認めた。これら症例の欠失パターンにより6p23-24(D6S1721-D6S260),6p21(D6S265-D6S291)の2箇所に共通欠失領域を同定した。各々の欠失頻度は43%(6/14),38%(6/17)であった。6p21領域に位置するWAF1遺伝子の変異は検出されなかった。新規癌抑制遺伝子単離の目的で6p23-24の共通欠失領域のYACクローンによる物理地図を作製したところ3つのクローンにより同領域はカバーされ3.49Mb以下であることが明らかになった。 以上から6p23-24,6p21の2箇所に悪性リンパ腫に関連する新規癌抑制遺伝子が存在する可能性が示唆された。
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