研究課題/領域番号 |
09671110
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 大阪大学 |
研究代表者 |
小川 啓泰 大阪大学, 医学部, 講師 (80194447)
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研究分担者 |
立川 豊吏 大阪大学, 医学部・附属病院, 医員
三宅 正剛 大阪大学, 医学部, 助手 (60294097)
相馬 俊裕 大阪大学, 医学部, 助手 (40273619)
岡 芳弘 大阪大学, 医学部, 助手 (20273691)
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キーワード | 白血病 / WT1 / 微小残存白血病 / 骨髄移植 / 造血幹細胞 |
研究概要 |
小児の腎腫瘍であるWilms腫瘍の原因遺伝子であるWT1遺伝子が、ほとんど全ての白血病で高発現していることを明かにし、WT1が、ほとんど全ての白血病の新しい腫瘍マーカーであることを世界に先駆けて発見した。WT1の発現量の定量法(WT1アッセイ)を用いて、骨髄では、正常細胞1,000〜10,000コに1コの感度で、末梢血では、正常細胞10万コに1コの感度で、白血病細胞を検出しうる方法を確立した。骨髄で感度が末梢血に比べて低いのは、正常造血幹細胞のCD34^+分画がわずかにWT1を発現することによるbackgroundが存在するためである。K562のWT1の発現レベルを1.00とすると、正常骨髄では10^<-4>代のbackgroundとなるので、骨髄検体では1/10^3〜1/10^4が白血病細胞の検出限界と考えられた。これは、白血病の増殖の主たる場が骨髄であることを考えると、好ましくない。しかし、この検出限界は正常骨髄検体を基に解析したものであった。そこで、WT1を全く発現していない悪性リンパ腫の患者で、同種骨髄移植後の骨髄検体におけるCD34^+細胞数とWT1値を経時的に測定した結果、移植後有意にCD34^+分画が減少すること、それに比例して、WT1値も低く抑えられていることを見い出した。このことは、同種骨髄移植後の造血能の回復のbiologyの解明に新知見を与えるものであると同時に、移植後にWT1 assayを用いて、微小残存白血病を測定する場合、骨髄も末梢血と同程度に高い検出感度が得られるということを示す。化学療法患者でも、同様のことがいえるが検討中である。さらに、現在正常造血幹細胞におけるWT1の発現様態を詳細に調べることを目的として、CD34^+ lineage^-分画をFACS sortingし、single cell PCRを行うことにより、解析を進めている。
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