研究概要 |
造血幹細胞の骨髄へのhoming機構解明を目的として、骨髄移植後の造血幹細胞の動態と特徴について検討している。昨年度報告書では、(1)ヒトにおいて、同種骨髄移植後末梢血中に循環している造血幹細胞をCFU-GM assayとHPP-CFC assay及びCD34陽性CD38陰性細胞数とVLA-4陰性率で検討したところ、移植後は分化傾向のある幹細胞が早期に末梢血より消失し、未分化な幹細胞がより長く末梢血中に留まる傾向が示唆され、また(2)C5マウスの骨髄移植における移植後30min、1hr、2hr、6hr、12hr、18hr.24hrにおける骨髄(femur)中及び末梢血中の造血幹細胞は、漸減する結果を得た。今年度の成果は、(1)ヒト同種骨髄移植後の移植骨髄中と移植後day1、2、3,5,7,10,14,17,21,28,35の末梢血中のCFU-GM及びHPP-CFCを検討した。CFU-GMはday 1からday5まで漸減しday14で再び検出された。形成されたmyeloid colony中のHPP-CFCの比率は、移植後day1末梢血中の方が移植骨髄中より有意に高かった。このHPP-CFCのVNTR解析では、細胞はドナー由来であることが判明し、90%以上のHPP-CFCにおいてreplating potentialを有することが示された。またCD34陽性CD38陰性細胞の比率も、移植後day1末梢血中の方が移植骨髄中より有意に高かった。次に、(2)近年新しい造血細胞移植として注目されている同種末梢血幹細胞移植に関して、同様に移植後造血前駆細胞の動態を検討したところ、上記の骨髄移植での検討とほぼ同じ結果が得られた。末梢血中でのCFU-GMは、骨髄移植と同様にday1からday5まで漸減したが、自己移植ではday7から、同種移植ではday10〜day14で再び検出され、末梢血幹細胞移植の特徴である移植後の速やかな造血回復を支持する結果が得られている。以上より同種移植された骨髄系前駆細胞は、未分化なもの及びやや分化したものが、共にきわめて早期に末梢血中に循環していることが示され、その移植後の時間的動態も明らかにされた。さらに(3)マウスにおいて、幹細胞のseeding効果に影響するL-selectin、VLA-4、VLA-5、LPA-1を用いた阻害試験では、移植後30分、2時間、24時間において末梢血でのCFU-GM形成能に有意に影響を及ぼすことが明らかとなった。
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