研究概要 |
Jak2のキナーゼ様領域、N末端領域の、増殖シグナル伝達における役割を明らかにする目的でJak2のキナーゼ様領域、N末端領域、キナーゼ様領域及びN末端領域を欠損したJak2とCD16/CD7との融合遺伝子を作製し、vaccinia virusベクターに挿入しrecombinant vaccinia virusを作製した。それらをIL-3依存性細胞株であるBa/F3細胞に感染、発現させた後、抗CD16抗体でcrosslinkすることにより活性化させ、それぞれのシグナルの差を欠損のないJak2とCD16/CD7との融合遺伝子におけるシグナルと比較検討した。欠損のないJak2とCD16/CD7の融合遺伝子がcrosslink後でのみ活性化されたのに対し、キナーゼ様領域、N末端領域、及びその両方を欠損したJak2とCD16/CD7の融合遺伝子は、crosslinkなしでも活性化されておりキナーゼ自身のチロシンリン酸化、Sch蛋白のチロシンリン酸化,STAT5の活性化が認められた。特にキナーゼ様領域及びN末端領域両方を欠損したJak2とCD16/CD7の融合遺伝子は非常に高度に活性化されており、キナーゼ様領域、N末端領域は、それぞれ別個にJak2の活性化を制御していることが推測された。次にJak2の細胞増殖における役割を検討するため、IL-3なしで高度に活性化されているキナーゼ様領域及びN末端領域両方を欠損したJak2とCD16/CD7の融合遺伝子をBa/F3細胞に直接導入は、発現させた。Ba/F3細胞はIL-3なしでは数日で細胞死を起こすのに対し、この遺伝子を導入したBa/F3細胞はIL-3なしでも細胞死を起こさなかった。この細胞ではpim-1とbcl2遺伝子の発現がIL-3なしでも高度にみられ、Jak2の下流シグナルが、これらの遺伝子の発現増殖を介して細胞活性を維持していると考えれれた。
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