研究分担者 |
伊藤 能清 九州大学, 医学部, 医員
杉尾 康浩 九州大学, 医学部, 医員
前田 基 九州大学, 医学部, 医員
飯野 忠史 九州大学, 医学部, 医員
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研究概要 |
まず、我々はrhGM-CSF、rhIL-4 とrhTNF-alfa を用いて抹消血単核球由来付着細胞より樹状細胞の誘導に成功した。10日後、これらの培養細胞は成熟単球由来樹状細胞の表面マーカーを持ち、一次、二次免疫応答を誘導できることが確認できた。次に、この単球由来樹状細胞を用いて、急性骨髄性白血病の腫瘍抗原の同定を試みた。最も予後良好群とされる8;21転座を持つ急性骨髄性白血病患者は、長期寛解例にも、微小残存病変(AML1MIG8 融合遺伝子)の存在が確認されるが、その意義は明らかでない。この様な寛解例には、AML1MIG8融合蛋白に対する特異的な免疫機構が存在する可能性がある.既にAML1MIG8融合遺伝子陽性白血病患者の血清中にMIG8bTAF110領域蛋白に対する抗MIG8抗体の存在が報告されている.Mig8b由来のpeptide を用い特異的細胞障害性T細胞株の誘導を自己単球由来樹状細胞を使い,健常人より試みた.HLA-A0201拘束性MIG8baa182-191特異的細胞障害性T細胞株が3株誘導できた。Vβ14、15とVα17を主に使用し、CDR3領域のJβ使用も、主にJβ21,23に限定されていた.PCR-SSCPにより,olgodone であることが,判明した.r(8,21)陽性白血病細胞に高発現するMIG8蛋白が,腫瘍抗原の一つとなりうる可能性があると考えられた.更に『クリオグロブリン血症に対する自己単球由来樹状細胞を用いた免疫療法』が,当院倫理委員会にて,承認されたため,患者,家族に,十分なインフォームドコンセントを行い,同治療を施行した.クリオグロブリンは,簡便に冷却洗浄にて,精製できるため,これを腫瘍抗原として用いた.重篤な副作用は無く,一時的ではあるが,患者の肢端チアノーゼは改善し,クリオグロブリン特異的免疫反応を確認した.
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