研究概要 |
我々は線溶制御因子のひとつである、plasminogen activator inhibitor2(PAI-2)の生体内における役割を検討するためにPAI-2の発現をマウス(Thromb Haemostas 76,569-576,1996)、そしてヒト(Histochem Cell Biol 110,449-455,1998)で検討し報告した。さらにPAI-2の生理的意義を詳細に検討するためにgene targeting法によりマウスPAI-2遺伝子を改変し、PAI-2欠損マウスという病態モデルマウスを作成することとした。マウスPAI-2遺伝子の一部をneomycin耐性遺伝子に置換したtargeting vectorを構築し、それをマウスCGR8 embryonic stem(ES)cellへ導入した。geneticinによる選別後、southern blotによりPAI-2遺伝子にrecombinationがおきたES細胞を検出した。えられたES細胞をマウス胚細胞へ移入し、偽妊娠マウスへ移植した結果キメラマウスがえられたが、キメラマウスからのgerminal transmissionは成立しなかった。そのためE14tg2a ES細胞へtargeting vectorを導入し、同様にrecombinationがおきたES細胞を選別をし、PAI-2遺伝子の一部を欠如するE14tg2 aES細胞3クローンを見出した。現時点では、再度キメラマウスの作成にまでいたっているので、今後も研究計画に従ってキメラマウスを交配し、PAI-2遺伝子の一部を欠損するヘテロマウス、そしてホモマウスを作成することでPAI-2ノックアウトマウスを作成し、詳細に検討し、他の生理活性物質を欠損するマウスとの交配をおこないダブルノックアウトマウスをも作成する予定である。
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