研究概要 |
白血病発症の分子生物学的解析をテーマに研究した。特に慢性骨髄性白血病(CML)の発症およびCMLの臨床血液像の違いを分子生物学的手法により細胞レベルで解析・解明することを目的とした。主たる解析遺伝子は白血病細胞のc-kitおよびc-mpl遺伝子である。 major bcr-abl融合遺伝子が大半のCMLで発現されているが、minor bcr-abl融合遺伝子あるいは非典型的なbcr-abl融合遺伝子を発現し、非典型CMLを発症してくることを明らかにした。 また、major bcr-abl融合遺伝子のサブタイプ(b3-a2タイプもしくはb2-a2タイプ)により血小板増多がある程度決定されることを明らかにし、105例のPh^1+CMLでさらなる検討を行ったところ血小板増多を伴う病型にthrombopoietin(TPO)のレセプターであるc-mplの発現増多と血清TPO濃度に深く関係がある事をつきとめた。数例の症例でc-mplmRNAのisoformに今までに報告のない異常があることをつきとめた。 白血球増多が高度のCML症例でstem cell factor(SCF)のレセプターであるc-kit遺伝子に突然変異(codon541,564)が存在する症例が数例が存在し、慢性期にc-kit遺伝子が正常の症例が急性転化期にc-kit遺伝子に突然変異が付加異常してくることも明らかにした。このc-kit遺伝子に突然変異が生理学的に白血病を発症してくるのかin vitroおよびマウスにて現在検討中である。
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