研究概要 |
1. ABO不適合の同種骨髄移植8例、末梢血幹細胞移植3例、臍帯血幹細胞移植1例、ABO適合同種骨髄移植3例における赤血球及び血漿フォン・ビルブランド因子(vWF)上のABO血液型抗原と、抗血液型抗体の産生をモニターした。いずれの場合も赤血球表面抗原はドナーの血液型に移行したが、vWF上の血液型抗原はレシピエントの従来の血液型を保持していた。すなわち、ABO不適合血液幹細胞移植において赤血球と特定の血漿タンパク質間で血液型キメラとなることが明らかとなった。また、レシピエントの元の血液型に対する自然抗体は産生されていなかった(投稿中)。 2. vWFのA1ドメインの親水性アミノ酸を逐次Alaに置換したcDNAを含むプラスミドを大量調製し、ヒト培養細胞へのトランスフェクションの条件検討を開始した。今後、順次ビチセチンの結合に関与するアミノ酸残基を特定する。 3. マムシ毒から血小板膜タンパク質GPlbに特異的に結合し、vWFによる血小板凝集を強力に阻害するマムシギンを精製し、cDNAクローニングにより推定一次構造を決定した。マムシギンは、vWFを活性化するボトロセチンやビチセチンと相同性を示したが、全く異なる生理活性を示すことが明らかとなった(Thromb.Haemost.79,1199-1207,1998)。 4. タイコブラ毒から新しく精製されたvWF結合性タンパク質であるコーシャギンが、vWFの特定部位を切断する二価イオン依存性のメタロプロテアーゼであること、vWFとの結合には二価イオンを必要としないことを明らかにした。また、コーシャギンはvWFによる血小板凝集能やコラーゲンとの結合能を消失させることを明らかにした(Thromb.Haemost.80,499-505,1998)。現在、一次構造の解析を行っている。
|