1. フォン・ビルブランド因子(vWF)の新しい活性化因子であるビチセチンの一次構造を決定した。ビチセチンはα、βサブユニットがS-S結合したヘテロダイマーであるが、いずれのサブユニットもC型レクチン・モチーフを持ち、ボトロセチンとの相同性は比較的低く、約45%であった。ビチセチンはvWFのA1ドメイン内に結合し、競合実験からボトロセチン結合部位の近傍に結合すると考えられた。 2. ABO不適合の同種骨髄移植、末梢血幹細胞移植、臍帯血幹細胞移植における赤血球及び血漿vWF上のABO血液型抗原と、抗血液型抗体の産生をモニターした。いずれの場合も赤血球表面抗原はドナーの血液型に移行したが、vWF上の血液型抗原は移植後数年をへてもレシピエントの従来の血液型を保持することが明らかとなった。 3. タイコブラ毒から新しく精製されたvWF結合性タンパク質であるコーシャギンが、vWFの特定部位(Pro708-Asp709間)を切断する二価イオン依存性のメタロプロテアーゼであり、vWFによる血小板凝集能やコラーゲンとの結合能を消失させることを明らかにした。 4. マムシ毒から血小板膜タンパク質GPlbに特異的に結合し、vWFによる血小板凝集を強力に阻害するマムシギンを精製し、cDNAクローニングにより推定一次構造を決定した。 5. マムシ毒からフィブリノーゲンを切断する新しいセリンプロテアーゼ(ハリスターゼ)を見出し、一次構造を決定した。ハリスターゼはキニノーゲンを切断し、ブラジキニンを遊離することでラットの血圧を降下させる活性を示した。
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