研究課題/領域番号 |
09671143
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
血液内科学
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研究機関 | (財)東京都臨床医学総合研究所 |
研究代表者 |
山本 正雅 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 循環器病, 研究員 (50150884)
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研究分担者 |
田上 憲次郎 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 循環器病, 研究員 (30014137)
松野 一彦 北海道大学, 医療技術短期大学部, 教授 (70102332)
加瀬 良一 財団法人東京都臨床医学総合研究所, 臨床遺伝, 研究員 (20150203)
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研究期間 (年度) |
1997 – 1998
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キーワード | GPIbα / 14-3-3ζ / ATP放出 / リストセチン凝集 / GPIb / IX / V複合体 / BSS Tokyo II / シグナル伝達 / Bernard-Soulier syndrome |
研究概要 |
血小板膜糖蛋白GPIb/IX/V複合体はvonWillebrand因子やトロンビン結合部位があり、血小板の粘着に重要な役割を果たしている。GPIbαにはQ545よりc-末端側の細胞内ドメインにactin-binding protein(ABP)や14-3-3ζと結合する部位があり、vWFがGPIbαに結合後、outside-1nのシグナル伝達との関係が注目される。Bernard-Soulier syndrome(BSS)Tokyo IIと命名した患者はホモ接合体のQ545Xの変異をもち、GPIbαのこのc-末端が欠損している。血小板におけるGPIbα依存性のシグナル伝達の機序を検討するために、患者の血小板を調べた。患者血小板のリストセチン凝集は弱く、1.2mg/mlでは解離性を示した。患者血小板での放出反応であったが、患者血小板はリストセチン凝集が対照に比べ弱く、同凝集の高さを得る対照の血小板凝集では明らかな放出反応が認められたが、患者の血小板ではATPの放出反応が全く認められなかった。これらの結果から、BSS TokyoIIはGPIbαを介するoutside-inのシグナルの伝達が阻害されていることが明らかとなった。BSS Tokyo IIの変異をもつGPIbαを動物細胞に発現するべく,Q545XのGPIbα遺伝子と正常遺伝子を調製し、発現ベクターであるp-TargeTに導入した。患者のVNTRの数を考慮し患者の2回繰り返しに合わせた。GPIbのC-末端で結合し、シグナリング分子として考えられている14-3-3ζはcDNAをPCRで増幅後、P-TargeTに導入した。GPIbαの細胞表面への発現にはGPIbβとGPIXのco-expressionが必要であることがLopezらにより明らかにされている。そこで、彼らが作成したGPIbβ/GIXをCHOに安定に発現した細胞を恵与して頂いた。現在、変異体のGPIbαを発現実験中である。14-3-3ζはubiquitousに発現しており、CHOに発現したGPIb/GPIX複合体は細胞に本来存在する14-3-3ζと結合して発現してくると考えられるので,14-3-3ζの遺伝子の導入は必ずしも必要でなかったかもしれない。本実験で発現ベクターに組み込んだ患者のGPIbαの遺伝子は、今後さらにGPIbα依存性のシグナル伝達を誘発する研究や下流にあるkinaseの解明に応用できると考えられる。
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