研究概要 |
I. MRSA感染後腎炎の発症機序の解析 1) TCRVβ鎖のjunctional diversityの検討:患者のPBLにおけるJunctional diversityはpo1yc1onal,po1yc1onal+ologoc1onalのpatternを呈し、疾患のstageにより異なることが判明した. 2) culture系を用いたTCRVβ陽性CD4+細胞の役割の検討:(1)IL-2R陽性Tα、Tγ細胞は前値に比して数倍以上に増加し、1gA、1gG産生B細胞をhelpすることが判明した.これを抗Fcγ-R,Fcα-R特異的モノクローナル抗体にて確認中である. 3) 免疫複合体の抗原系の検討:MRSA腎炎患者ではSA菌体成分やtoxinらに対する1gG、1gA抗体、さらには免疫複合体が検出出来た.現在糸球体に沈着している抗原を検索中である.しかしながら著明な1gA、1gGのpolyclonalな産生についてはMRSA抗原のみとは考えられず、本疾患の免疫学的背景を考慮するとentrotoxinの関与が大きいものと考えられる. II. 各種腎疾患におけるT細胞レセプターなどを含む免疫学的解析:(1)免疫複合体型腎炎:本邦で最も頻度が高いIgA腎症,特発性と考えられる紫斑病性腎炎,ループス腎炎ではTCRVβ陽性細胞の有意な増加がみとめられた(Muro et al.投稿中、Hirayama et al.投稿中).(2)細胞性免疫の関与が推測される腎疾患:微小変化型ネフローゼ症候群,巣状糸球体硬化症にもある種のTCRVβ賜性細胞の有意な増加が認められることが判明した(Koyama et al.投稿中).(3)免疫複合体型腎炎である膜性腎症では正常値範囲であった.(4)免疫複合体が認められない半月体形成性腎炎や顕微鏡的結節性動脈周囲炎などの全身性血管炎ではむしろ正常より有意に低値であった.
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