研究課題/領域番号 |
09671160
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
松尾 清一 名古屋大学, 医学部, 講師 (70190410)
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研究分担者 |
西川 和裕 愛知学院大学, 歯学部, 講師
湯澤 由紀夫 名古屋大学, 医学部, 助手 (00191479)
長谷川 高明 名古屋大学, 医学部, 助教授 (80198720)
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キーワード | 蛋白尿 / 間質障害 / 補体 / 補体制御因子 / sCR1 / 近位尿細管 / 蛋白尿 / ラット |
研究概要 |
大量の蛋白尿時には、血漿蛋白が尿細管腔に漏出して尿細管細胞を障害して尿細管細胞の変性や脱落を引き起こす一方で、尿細管細胞を刺激して様々な炎症性サイトカインや成長因子を放出せしめる。本研究より、蛋白尿時に尿細管中に漏出する血漿蛋白のうち補体成分が中心的に関与していることが以下の実験より確かめられた。 まず、ラットにアミノヌクレオシド(PAN)を静脈内注射して大量の蛋白尿をきたすモデル(ネフローゼラットモデル)を作成した。次にこのネフローゼラットを経時的に観察したところ7日目には明らかに腎尿細管・間質の障害が見られた。このラットに蛋白尿の出現しはじめる第3病日から、(1)コブラ蛇毒因子(CVF)を1日おきに投与して血中補体を枯渇させた群、(2)C3レベルで補体の活性化を抑制する作用のある可溶型CR1(sCR1)を8時間毎に腹腔内投与した群、(3)何も操作しないネフローゼ群、の3群に分けて、蛋白尿の量、血中補体価、7及び14日目の腎臓の組織検査、補体の沈着の程度、を検討した。その結果、補体を操作した群では血清補体価(CH50)はほぼ測定感度以下に低下するが尿蛋白量は影響を受けなかった。CVF,sCR1群ともに腎臓への補体の沈着はほぼ完全に抑制され、尿細管間質障害もコントロールラットに比べて有意に軽減した。この研究により、尿蛋白量は同じでも補体活性化がなければ尿細管間質障害の程度は抑制されることが始めて明らかにされた。
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