研究概要 |
プロスタノイド受容体ノックアウト(KO)マウスの中で、PGE@@S22@@E2受容体サブタイプのEP1、EP3、トロンボキサンA2受容体(TP)、プロスタサイクリン受容体(IP)のKOマウスについて検討した。血圧はIPKOマウスでやや低下傾向、EP1KOマウスで上昇傾向を示し、代償機構が過剰に作用した結果、本来予想されたものと反対の結果を生じたものと解釈された。一方、他のKOマウスでは血圧、脈拍の変化は認められなかった。腎機能に関しては基礎値には変化が認められなかったが、EP1KOでは食塩負荷時の水利尿の低下が認められた。5/6腎摘モデルでは、IPKO,TPKO共に糸球体の増大、腎機能の低下、線維化の程度は、対照群と比較して有意な変化は認められなかった。 糖尿病性腎症の発症と進展におけるプロスタノイドの役割を解明する目的で、ラットの培養メサンギウム細胞を用いて検討を行った結果、高グルコース下でDNA合成能が亢進し、このDNA合成亢進はEP1特異的アンタゴニストにより有意に抑制されることを観察した。その機序として、高浸透圧刺激によりPGE@@S22@@E2産生が亢進すること、高グルコース下でEP4によるCAMPの産生低下がおこり、その結果EP1を介するDNA産生が増強されることが明らかになった。高血圧性腎症におけるプロスタノイドの役割を解明する目的で、SHRSP由来の培養メサンギウム細胞を用いて検討した結果、EP4によるcAMPの産生低下と、その結果生じるEP1を介するDNA産生の亢進が確認された。現在in vivoにおいてPGE2/EP受容体の病態生理的意義の解明を行いつつある。
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