研究概要 |
ウサギ近位尿細管(S2)を単離灌流し、トログリタゾン(Tro)のイオン輸送体の制御、特に血管側膜に存在するNa^+/HCO_3共輸送体活性(NBC)への影響について解析した。血管側に50μMTroを添加すると管腔側膜電位(V_T)、基底側膜電位(V_B)とともに脱分極した。基底側膜のHCO_3を25mMより2.5mMに減少させると、(V_B)は脱分極した。50μMTroを添加しておくと、脱分極の程度は増加した。さらにTroを除去すると脱分極の程度は元に回復した。HCO_3のtransferance number(T_<HCO3>)を算出すると、0.5μMTro添加では対照と有意差はなかったが、5μM,50μMTroではいずれも対照に比較し有意に増加した。基底側膜に、50μMTroを添加すると細胞内は酸性化した。基底側膜のHCO_3を25mMより2.5mMに減少させると、細胞内pH(pH_i)は低下した。細胞内酸性化をdpH/dtを用いて比較すると、0.5μMTro添加では対照と有意差はなかったが、5μM,50μMTroではいずれの対照に比較し有意に増加した。基底側膜のNa^+を147mMより14mMに減少させると、pHは低下した。細胞内酸性化をdpH/dtを用いて比較すると、0.5μMTro添加では対照と変化なかったが、5μM,50μMTroではいずれも対照に比較し有意に増加した。以上より、Troはウサギ近位尿細管(S2)において基底側膜に存在するNBCを刺激することが証明された。
|