研究概要 |
平成9年度の研究では、腎髄質内層におけるラット上皮性ナトリウ ムチャネル(rENaC)のナトリウム輸送機構としての可能性を探るため、腎髄質内層にrENaCのmRNAが発現しているかどうか、また、その発現調節を低ナトリウム食で飼育し血中のアルドステロン濃度が上昇したモデルを用いて検討した。RT-PCR法を用いて腎髄質内層にrENaCのα、β、γ各サブユニットのmRNAを検出した。そこで、さらにα、β、γ各サブユニットの全長cDNAをプローブとしてα、β、γ各サブユニットのmRNA発現に対する低ナトリウム食の影響をノザンブロット法にて検討した。腎髄質内層においてαサブユニットのmRNA発現はコントロール食に比べ低ナトリウム食により有意に(2.2倍)増加した。一方、β、γ各サブユニットのmRNA発現量には変化を認めなかった。これらの結果から、rENaCは腎髄質内層に存在しナトリウム輸送に重要な役割を演じていることが示唆された。さらに、同様な低ナトリウム食モデルを用いて、α、β、γサブユニットのmRNA発現調節を各臓器(肺、大腸、腎臓)ごとに検討し、特に腎臓においては組織を皮質、髄質外層、髄質内層に分割し検討をおこなった。各臓器間で各α、β、γサブユニットのmRNA発現に差が認められた(S.Ono et al,Pflugers Arch-Eur J Physiol 434:756-763,1997)ため、各臓器から採取したtotal RNAもしくはpoly(A)^+RNAをアフリカツメガエルの卵母細胞に注入しチャンネルタンパクを発現させ、チャンネルの機能を^<22>Na uptakeで測定し、臓器間でのメッセージ-機能の相関を検討したが、データのばらつきが多く有意差のある結果は得られなかった。
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