研究課題/領域番号 |
09671189
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
渡辺 孝紀 東北大学, 医学部附属病院, 講師 (70221687)
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研究分担者 |
木村 芳孝 東北大学, 医学部附属病院, 助手 (40261622)
岡村 州彦 東北大学, 医学部, 助教授 (90124560)
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キーワード | 胎児仮死 / 低酸素血症 / 胎児心拍数 / ドプラ |
研究概要 |
平成10年度は羊胎仔慢性実験の作成及び低酸素モデルとして臍帯の間欠的圧迫を用いた。この実験モデルは臍帯圧迫解放を繰り返すことにより胎仔に低酸素血症、また進行する酸血症をつくりだすものであり、臨床的に遭遇しうる分娩時の胎児仮死モデルとして有用であることがわかった。その結果酸血症のない段階では心拍数図に変動一過性徐脈が見られても胎仔頸動脈血流は保たれ、脳の血流も低下しないことがわかった。しかし酸血症の進行に伴い胎児血圧は臍帯圧迫中に低下するようになった。さらにこの血圧の変化と同時に脳血流を反映する胎仔頸動脈血流も臍帯圧迫中に低下した。すなわち胎仔心拍数図では同様の一過性徐脈のパターンを示しても酸血症の存在下では胎仔脳血流は臍帯圧迫に伴い間欠的に低下することがわかり、これが血圧の低下に伴うものであることが示された。 つぎに、酸血症に伴う臍帯圧迫中の脳血流の低下を引き起こす血圧の低下を心拍数変動よりとらえることが可能か否かを検討したが必ずしもパワースペクトルを含む心拍数変動の分析によっては血圧の変化をとらえることが容易ではないことがわかった。そこで血圧の低下の原因になると考えられる心収縮力の低下を反映しうる胎仔の心ドプラ信号の分析を行った。その結果酸血症が進行し臍帯圧迫中に血圧が低下するようになると胎仔心ドプラ信号の拡張期早期の房室弁解放直後の弁信号が小さくなる傾向がみられた。現在この信号の定量化と血圧の変化との相互関係をウェーブレット変換を応用した心ドプラ信号の時間周波数解析法により検討中である。
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