研究概要 |
日齢7あるいは14ののSplague-Dawleyラット新生仔を用い、ウレタン麻酔下で脳を固定した状態で、マイクロダイアリシスプローブ、NO選択性微小電極とレーザードップラー血流計のマイクロプローブをそれぞれ線条体に挿入した。手術後、測定値の安定化を待ってマイクロダイアリシスの灌流液を10分毎に採取し,高感度分析システムを用いて細胞外グルコース濃度を経時的に測定した。レギュラーインスリン(50IU/kg)の腹腔内投与による低血糖負荷を行い,脳内グルコース濃度の変化を追跡したところ、投与後3時間の時点では、日齢7のラットでは投与前の7.0%(平均)、日齢14では投与前の5.8%(平均)まで著明に低下した。レーザードップラー血流計で測定した局所微小循環は、日齢7のでは投与前の114%(平均)、日齢14では121%(平均)まで増加した。これらの増加はいずれも統計的に有意であり、また、日齢14では日齢7と比べると有意に増加率が高いことがわかった。しかしながら、線条体局所でのNOの産生量をNO微小電極により電気化学的に測定したところ,低グルコース負荷によってもNOの産生に有意な変動は認められなかった。これらのことより、細胞外グルコース濃度の低下に伴って局所微小循環は増加するものの、その循環の増加はNOの産生の増加に伴うものではないと考えられた。
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