研究概要 |
前年度に引き続き、日齢7あるいは14ののSplague-Dawleyラット新生仔を用い、ウレタン麻酔下で脳を固定し,マイクロダイアリシスプローブ、レーザードップラー血流計のマイクロプローブをそれぞれ線条体に挿入した。手術後、レーザードップラー血流計により局所血流をモニタリングすると共に、マイクロダイアリシス法を用いて脳灌流液を10分毎に採取した。今年度は、60分間のラット一過性低酸素脳虚血モデルを作成し、UV検出器とHPLCを用いて細胞外アデノシン、キサンチン、ヒポキサンチン濃度を経時的に測定した。低酸素虚血負荷により、線条体局所血流は負荷前の約50%から60%に減少し、負荷終了後には前値と同じレベルまで回復し、以後、漸減した。低酸素虚血負荷時にはアデノシンの細胞外濃度が上昇し、再酸素化ならびに再灌流時にはその代謝産物であるキサンチン,ヒポキサシチシ濃度が上昇し、そして高値を持続することが示された。キサンチンオキシダーゼによるプリン体の代謝の過程で、スーパーオキサイドやヒドロキシルラジカルなど活性酸素、フリーラジカルが発生することから、再灌流時には、N○のみならずヒドロキシルラジカルなど他の活性酸素が多量に発生することによっても神経細胞障害が引き起こされる可能性があると考えられた。今後、実際にヒドロキシルラジカルの局所産生の動態の評価、プリン代謝の阻害剤などの効果を検討する予定である。
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