研究概要 |
新生時期の脳障害の予防と管理には脳内血液量、酸素化の変化をモニターすることは非常に重要である。これまでの研究によって、近赤外線連続分光測定装置(fsNIRS)を利用し、2ポイントによる測定、拡散スペクトルの平坦化の補正、光路長の規格化により、脳組織内の酸素化Hb、脱酸素化Hb、酸素飽和度(SbO_2)、cytochrome c oxidaseのredox state、脳血液量をreal timeに測定することが可能であることを報告した。本研究において、これまでの方法を発展させ脳内血液量を定量的に測定できる新しい解析法を開発し、以下の成果を得た。 (1)生体組織の2点測定による吸光度測定における光路長の補正として、多成分解析による光遮断効果定数(Base)での光路長補正を行なう方法(Base補正法)を考案し、脳内ヘモグロビンの定量化に関する新しい解析方法を確立した。 (1)生体組織の2点測定による吸光度測定における光路長の補正として、多成分解析による光遮断効果定数(Base)での光路長補正を行なう方法(Base補正法)を考案し、脳内ヘモグロビンの定量化に関する新しい解析方法を確立した。 (2)脳内ヘモグロビンの定量化に関するin vitroとin vivoの検討として、時間分解分光装置(TRS)とfsNIRSの同時測定を行った。脳組織の光拡散状態と近似している1%intralipidの懸濁溶液中の血液濃度が0〜81.4μMの範囲では、TRSとBase補正法で算出した総Hb量に有意な正の相関(r=0.895,p<0.0001)を認めた。新生仔豚を用い濃厚赤血球の輸血および生理食塩水との交換輸血により血液中のHb濃度を変化させたが、TRSとBase補正法で算出した総Hb量とSbO_2に各々有意な正の相関(r=0.944,p<0.0001;r=0.858,p<0.0001)を認めた。また平均光路長とBaseとの間に有意な正の相関を認めた。これらの成績より近赤外線連続スペクトル測定に新しい解析方法であるBase補正法を組合せることで脳内ヘモグロビンを定量的に測定できることが証明された。
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