目的および背景 新生児医療の中で脳性麻痺は最も重要な臨床的課題である。脳性麻痺の原因として特に高頻度に早産児に発生する脳室周囲白質軟化症は虚血状況をリアルタイムにとらえられないため予防法が確立していない。この研究では近年開発された超音波検査のうちacoustic densitometry法で頭部虚血モデル動物での血流の変化の評価を行うことにある。 対象と方法 1.5%アルブミン製剤をソニケーターにかけてmicrobubbleを発生させた。 2.出生後36時間以内のブタに全身麻酔を行い、頭部の骨の一部を除去し、echowindowを作成した。 3.以下の処置により実験動物に頭部虚血負荷をかけた。 (1)両側の頚動脈を結紮した。 (2)静脈ルートを確保し、脱血を行った。 (3)頚動脈を結紮したうえで、PaCO_2が10mmHg以下になるまで人工呼吸器の条件設定を変更した。 上記の処置中、血圧、心拍数および近赤外光による脳Hb量の変化をモニタリングを行った。 4.上記の処置前から十分に脳虚血になったと判定した時期まで連続的にエコーのプロ-ベをエコーウインドウに固定して、虚血負荷の前後でIntensityの変化を記録した。記録部位は(1)両側視床、(2)脳室周囲白質で、5%のアルブミンを静脈注射して測定を行った。 結果各状態においていずれの部位においてもintensityの変化は一定しておらず、有意の変化は認められなかった。 考察強い脳虚血負担をかけたにもかかわらず、acoustic densitometry法では脳虚血をとらえることはできないと結論した。更に検査方法を改良していく必要があると考えた。
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